男が父親になる瞬間|実感がわかなくても焦る必要はない

初めて言うんですけど、実は私、親になるんです。

父性の芽生え

妊娠したかもしれないということを知ったのは8月上旬頃で、『縦棒のマーク』がついた検査薬を持った奥さんが『できたかもしれない』と言ってきました。この時に私が思ったのは『まるで不倫相手の女が男に迫る昼ドラのワンシーンのようだ』という何とも、何ともな内容なのですが(奥さんにも話しています)、そん時は『おーできたんか!でもあんまり親になるって気はしないなー』って話していました。

母性と父性の芽生え

一般にお腹とともに成長して、お腹を痛めて子どもを産む母親においては、母性が芽生えやすいというふうに言われている気がします。多分。一方で父性が芽生える瞬間って、肉体的には何もないんですよね。

そりゃあお腹が大きくなっていくのは見てはいますけれども、自分の身体ではないし、わかってはいるんだけど、やっぱりどこか『うーん実感わかんよなぁ』と思ってしまうわけです。

まあ、そんな私でしたが奥さんは良く理解してくれていて、『きょーち(私のこと)は短時間で何でも卒なくこなすし、時期になったら実感も一気にわくでしょう』と大きな心で構えてくれていました。ありがたい。

人からの影響ではない自分の変化

今思うとですね、こうやって焦らせないでくれたことは非常に良いことだったと思います。人に言われてアレコレやるのはあんまり好きじゃないんですよね。それだけじゃなくて、人に言われて決めたことって『人のせいにできてしまう』じゃないですか。

『お前が○○って言ったからこうしたんだろ』っていう言い訳を並べられるようになってしまうじゃないですか。そういった意味でも、私の父性がいつか芽生えることを、自信を持って待っていてくれた奥さまに非常に感謝しているわけです。

きっとね。世の中の旦那で『親になる実感がわかないまま親になった人』って周りの誰かになんか言われてるんじゃないかと思うんですよね。パパになるんだからしっかりしないとね、とかなんとか。思い当たる節、あるんじゃないでしょうか。

そう言われちゃうとね、言われた側は他人のせいにできてしまうんですよね。だから余計に悪影響なんじゃないかと思うわけです。

芽生える父性は環境だけで十分

そうして誰からも焦らされることなくノンビリといつも通りに暮らしてきたわけですが、そんな私も段々と親になることを受け入れてきたんです。というか勝手になるんですよ。

良く『親になれるか不安だ』なんて言われると思うんですが、一番の不安を取り除く方法は親になってしまう方法なんだと思います。泳げるかどうか不安でしょうがないなら、泳いでみればいいんです。すると色んな情報が入ってくるんですよ。

『親になるのかぁ』と頭の片隅にでも入っていると、自分の情報感度が変わるんですね。今まで見ていた同じニュースでも子育て支援が気になり始めるし、大好きな観光に行ってもやたらと子ども連れが目に付いたり。

例えば、あれと同じですね。車が欲しいなぁと漠然と思い出したら、車のCMやスマホの広告が気になり始めたりするじゃないですか。あれと同じですよ。『親になるんだ』と漠然と思い出したら、そういった環境に入ったら、段々と『親になること』についての実感を得ていくわけです。

きっかけは『動いた!』だ

そして鍵となったのが『動いた!』瞬間でした。奥さんは私よりももう1,2週間早く胎動を感じていたらしいのですが、私が触った時はあんまり動いてくれなかったんですね。でもある日、寝る前にお腹を触ってみると『ふわっ』と何かが動くのを感じられました。最初は奥さんの腹式呼吸なんじゃないかと思っていたのですが、どうやら赤ちゃんの胎動を遂に『肌で感じられた』わけです。

その時『おっ』って思いました。『こいつ、動くぞ』って思いましたね。やっぱり環境もそうだけど、自分の身体で感じることが重要だったんです。

一人の男は段々と父親になっていく

それからも少しずつ私は父親になっています。身体をかがめるのが辛くなってきたのでお風呂掃除を担当し始めたり、朝に(憂鬱な気持ちで)会社に行く時も、お腹の中の子にも『行ってきます』をするようになりました。

人って環境で変わるもんなんですね。1年前は働くのが嫌で嫌で、子どもなんて作ったら一生働かないといけない負債を抱えるようなもんだと、絶対に嫌だと思ってたんですよ。それに自分の周りに子育てを楽しんでいる人がいなくて、そうした環境の中にいると自然と『子育てコスパ悪いやん』みたいな思想に陥っていくわけです。

でも移住イベントに行って色んな親に会ったり(家族で移住する人の幸せ係数は本当に高い)、子育てブロガーの人の記事を読んでいる内に、子育てもそんな気負ってやらなくても良いのかなと思えるようになりました。たぶん、そうした情報を取り入れようとしていたことは、少しくらいは子どもを欲しいと思っていた部分もあるのかもしれません。

そうやって自分の周りに『子どもを持つことは幸せだ』みたいな人が多くいる環境ができていったことで、私はいわゆる避妊具を捨てる決心をしたわけです。だから、漠然と親になることへの不安を持っている方は『自分の周りに幸せな家族はいるか』を考えてみると良いと思います。あまりいないのであれば、少しずつ増やしていってみれば、いつかは親になりたいとほんわかと思えるようになるはずです。焦る必要はない。そんではー