インドでライターの学生インターンをしたときに学んだ7つのこと

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(インドの道路、人間と車とバイクが同時に通れるスクランブル交差点みたいなもん)

企業は言います。

「我が社はグローバル企業です」「グローバル人材を求めています」

学生は答えます。

「私は将来海外で働きたいと考えています!」「私が以前に海外に行った際…!」

私は2012年に就活を始めました。その時にはもう就活トレンドワードに「グローバル」という言葉が入っていました。文系はもちろん理系においても、「海外についてどう思っているか」という答えを準備するというのは、就活戦線を勝ち抜くための必須要件となっていました。

ただ私は就活を勝ち抜くためではなく、実際に海外で働いてみたいと思っていたんです。何だかそれが自分の成長につながる気がするし、世界的に貢献したかったし、つまりは海外が漠然と魅力的に感じていたからです。

そうして私は就活前に、インドへ学生インターンへ行ってみました。今回はその際のことを振り返りながら、なぜインドへ行ったのか、何を学んだのか、そして就職にどう影響したのか、まとめてみたいと思います。

なぜインドで海外インターンをしようと思ったのか

まずはなぜ海外インターンをしようと思ったのか、そしてインドという地を選んだのかについてです。

グローバル人材とは何か、知るのではなく体験したかった

トレンドワードにありがちなように、知っているつもりで知らないことってたくさんあります。今でいえば人工知能がホットワードになっていますが、良くもわからないで「人工知能に仕事が奪われる!」とか言っている人、たくさんいると思います。

学生時代の私にとっての「グローバル人材」はそれと同じでした。よく聞くし、企業説明会では中心キーワードになるし(技術系においても)、よく聞くから知ったつもりになっていたんです。

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(羊の脳みそのカツレツ、食べたあとに脳みそって言われたけどめっちゃおいしかった)

でも海外について実際はなーんにも知りません。だから体験してみたかったんです。例えば自転車の乗り方を勉強するためにいつまでも説明会に出ていてもしゃーないんです。とりあえず自転車に乗ってみよう、じゃないと始まらん。そう思って海外インターンに申し込み、実際に働いてみることにしました。

アメリカやヨーロッパじゃなく発展途上国に行きたかった

海外もどこに行くかで変わってくると思いました。そんな時、同じ大学の友人が「インドに行ってみない?」という「今からマック行かない?」くらいの軽いノリでメールを送ってきて、「あーインドか。行こうかな」くらいのノリで決めました(つまりインターン先は友人が紹介してくれました)

スグに決められたのは、漠然と途上国に行きたいと思っていたからです。アメリカやヨーロッパは言語や文化の違いを感じられるだろうけど、途上国に行けば世界の違いを感じられるような気がしました。行ってみて、実際にそうだったんですけど。

インドでどんなことをしたのか

さてインドに着きました。私は将来は技術者になりたいと思っていましたが、今回はライターの仕事をもらいました。テーマは「南インド初の日本人向け情報誌を作る」です。作った雑誌は色んなところに置かれたそうです。トヨタにもあるって聞きました。

首都デリーがある北インドではすでに日本人向け情報誌があり、インドに住んでいる日本人の生活の質を向上させていました。生活情報というのは、インドに住む日本人にとって欠かせないインフラの一つなんです。

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(珍しく清潔感満点で味もいいお店、味はいいけど汚い店が多い)

知らない国で生活するときに、「安全なスーパー」「日本食を買える店」など、ネットにまだない情報を集めて情報誌を作る。これが私たちのミッションでした。もちろんWebにも反映されたそうですけど。

アポを取る

情報誌を作るためには情報を仕入れなければなりません。まずは頑張って電話でアポ取りです。日本語でもアポ取りなんて緊張するのに、英語でするのはめっちゃ疲れました(しかも英語通じないインド人多い)。電話かける度に、どっと汗が出て、何も達成してないのに達成感を感じました。

取材をする

そのあとはお店に行って取材です。これまた日本語ですらやったことないから、質問リストみたいなの作って頑張って取材しました。余談ですけどこのときに、「趣味で書くのは良いけれど、仕事でライターやるのは興味が無い内容かもしれないし、嫌だ」って思いました。「趣味を簡単に仕事にしちゃアカンw」って気づけて良かったです。でも興味が有ることだったら仕事でも良いと思います。

連日の飲み会に参加する

後述しますが連日飲み会に行きました。インドだから〜ってわけではなく、海外に行ったら飲み会増えると思います。理由は後述します。飲み会好きな人はいいですけど、知らん人と飲むのがそんなに好きじゃない私は途中から疲れ気味になりました。

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(毎日どっかしらで飲み会です、好きな人にはたまらんでしょう)

初日は楽しかったけど、一週間ずっと飲み会続くとウンザリしてきます。これまた余談ですけど、「飲み会に行きたくないときは普通に断ろう」って学びました。今でも空気読まず行きたくないときは断ります。嫌われる勇気…

記事にまとめる

あとは調べたことをまとめていきます。編集者みたいな人がいたんでその人に見てもらってました。話の順番的にお気づきかもしれませんが、辛かったのは飲み会のあとにこの作業が始まるわけで、寝るのは毎日2時とかでした。

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(働きっぱなし)

これまた余談ですけどこのときに、「絶対に残業の少ない会社に就職しよう…」って学びました。学生は学生のうちに一度ブラック環境に身をおくことをおすすめします。社会人になってからだとちょっと遅いです。

まとめると

  • 08:00-10:00 電話でアポ取り(英語)
  • 10:00-18:00 取材する、大体飲食店なので飯も同時に済ませる(英語)
  • 18:00-22:00 飲み会が盛んに行われる(日英印)
  • 22:00-02:00 記事書く

こんな感じで休みなく、要は環境的にブラックでした。でもライターという職業柄で色んな日本人にもあったのですが、「うーん。インドに来てる人はそういう人多いね」って言われて、「Oh…」ってなりました。20人くらい会ったと思いますけど割とそういう人ばっかでした。なんでそうなるのかは理由があるので後述します。

インドだからこそできたこと、学べたこと

こっからは良くも悪くもインドに行って学んだことを書いていきます。

すごい人に簡単に会えるから刺激的で成長もできる

海外に行くとスゴイ人に会いやすいです。私はサントリーの社長室長に会いました。私の次にインターンに行った人はトヨタのインド法人トップに会ったそうです。

なぜ海外に行くとスゴイ人に会えるからというと、自分の希少価値が一気に上るからです。日本にいると名もないただの学生なんでしょうが、海外に行けば「インドに働きに来ている珍しい学生」になれます。だからスゴイ人が「会ってみたいな」と思える人間に、勝手になることができるんです。

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(インドの町中)

スゴイ人と直接話をすると価値観が変わります。そういう人ばかりに合うのでどんどん考えがブラッシュアップされていきます。これは常に成長し続けたい人にとってすばらしい環境にあると思います。

すごい人に会うのは刺激が強い分疲れる

真逆の話になりますけど、スゴイ人と話すのはかなりの集中力を要します。ずっと論文発表や判断会議をしているようなもんです。働いているうちにそれが普通になって慣れていくんでしょうけれど、それまでに精神が潰れないかは人によると思います。

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(カレーは主食というか、どんな料理もカレー味がする)

あとさっき飲み会が多いって言いましたけど、スゴイ人ってみんなガッツもあって世渡りも上手なので、そういう人とお話をしようとしていると自然と飲み会だらけになっていきます。

大体にして「海外で働きたい」と思っている人って仕事が好きだし、ガッツが半端ないんですよね。だから働きまくる人も多いです。そういう人たちに囲まれて生活することがどんなことかを理解しました。自分にも相応のガッツがないと、ついてけません。

発展途上国の「オレ成長しているから」というポジティブな構え

インド行って驚いたのは誰もが前向きだということです。国が常に成長しているから、自分も成長しているという実感があるのでしょう。

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(荒野の裏に…)

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(大型ショッピングモールがあったりする、発展の勢いがスゴイ)

そういう人達に囲まれているといかに日本がネガティブであり現状維持的なのかがわかります。

グローバル人材にとって英語は一要素

分かる人にとっては当たり前なのですが、未だにグローバル人材の最重要項目が英語だと思っている人が多いです。英語はあくまでも一要素。むしろできなくてもなんとかしちゃってる人が山ほどいて、「頭より性格だな」と思いました。

世界で働くために必要なのは積極性と多様性と受容性とガッツ

では英語ではなく何が重要なのかというと、

  • 積極性
  • 多様性と受容性
  • ガッツ

です。

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(ガンジス川聖地バラナシに行けたのは良かった)

積極的に行動できる、人に絡んでいける、仲良くなれる人。いわゆるコミュ力でしょうか。

多様性を理解して色んな人がいること、自分と違う価値観を持つ人がいることを受け入れられること。日本人はものすごく価値観が似ているひとが多いけど、インドは違いました。

ガッツはもう、元気な人しかやっていけません。体育会系なノリにマイペースでもいいからついていける人じゃないと疲れます。

腹壊す、狂犬病怖い、こころとカラダが休まる日はあまりない

インドにいるときに屋台のチャイを飲んだら3日間の間寝込みました。

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(忘れもしない腹痛のちゃい)

最初は気をつけていたんですけどね。油断しました。つまり油断は禁物の世界です。歩道を歩いていたらいきなり大穴があったり(落ちたら重症)、飯食ったら腹壊すかもしれないし、基本リキシャー(タクシーみたいなの)はボッタクリに掛かって来るし、両替所ですら半額ボラレそうになりました。両替所では満面の笑みで、「あぁ!渡し忘れてたYo!」的な感じでした。

このやり取りや世界観がたまらない!って人は確実にいるんですけど、毎日これが続いていてこれが日常になるのは嫌でした。歩道歩いたり、ご飯食べるという日常的な行動に神経を張らないといけないんです。休まらん。

一番怖かったのが「噛まれたら死ぬよ」っていうケロベロスみたいな狂犬病の犬がそこら中にいます。

試験的な治療法の成功症例を除くと、ワクチン接種を受けずに発症した場合はほとんど確実に死に至り[12]、確立した治療法はない。2004年10月以前までで記録に残っている生存者はわずか5人のみで、いずれも発症する前にワクチン接種を受けていた。

狂犬病 – Wikipedia

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かわいいから写真たくさん撮ったけど、噛まれたら死ぬって怖くないですか。

日本は快適

最後にサラッと言いますけど、デフレだろうが少子高齢化だろうがなんだろうが日本は快適です。

終わりに

最後まで読まれた方は、「お前は海外で何を学んだんだ…」ってなるでしょうが、私が学んだことは「短期間ならいいけれど長期間、海外で働くのはムリ。仕事だけでなく生活を伴うような場合は長期間はムリ」ということです。つまり私は海外ムリ組で、一種の負け組かもしれません。

でも実はこれが一番重要なことだと思っていて、「海外で働きたい!海外で成長したい!海外で貢献したい!」みたいに海外を盲信している人は多いけれど、そういう人は自分が描いている海外生活とのギャップがないか、実際に働いてみてその生活について行けるのか、体験してみたほうが良いと思うんです。

私の場合も「インドは長期間はムリ」というのはわかりましたけど、短期間だったり、他の国だったらまた挑戦してみたいなって思っています。要は習うより慣れろ。妄想するより体験しろってことを学べました。おしまい。