何かを売るって、ドキドキする

f:id:KyoChika:20151019195346j:plain

関西最大のアートイベント「artDive2015」に参加してきました!と言っても、クリエイターである奥さんのお手伝いとして、ですけど・・・

一般公開の一時間くらい前に開場に到着して、せっせと設営の準備をする私たち夫婦。「あれはどこに置けば良いの!?」「これは何個必要なの!?」「あと10分しかないって言ってるけど!?」

f:id:KyoChika:20151019201523j:plain

てんやわんやの準備風景は、まるで文化祭前夜の高校生。忙しいんだけど、何だか楽しかったなぁ・・・

何かを作るということ

私はモノづくりを行う企業に勤めていまして、数ある職種の中でも機械を作るという仕事をしています。モノを作るのはごく単純にはおもしろいです。責任が伴ったり、いついつまでに必要なんだというプレッシャーさえなければ、モノづくりの仕事はおもしろいし、ノーストレスだと思います。

ただ、残念ながら自分の会社が作る最終製品を売ったことはありません。これって共感してもらえる内容だと思うのですが、開発職は自分が作った商品でさえも売ったことがないし、営業職は自分が売っている商品さえも作ったことない人がほとんどです。それ自体が悪いっていうつもりはありません。効率的であると思います。

何かを作って、売るということ

いつもは開発者として働く私ですが、今日は販売者としてイスに座っていました。奥さんにとっても今回の展示会は久しぶりのことであり、正直に言うと売れるとは思ってなかったんです。正確に言うと、売れなかった時のために過度な期待はよしておこうと思っていました。

f:id:KyoChika:20151019202600j:plain

開場から30分。まばらに現れるお客さま。足を止めて「かわいい〜」と言う人はいても、手に取って「これが欲しい!」という人はいない。

「やっぱり、モノを売るのって難しいんだなぁ」と思いながらも、先にお昼休憩を取らせてもらいました。休憩スペースまで行く途中、他のブースを見ていると明らかにレベルの高い作品を展示している人もいて、何となくさみしい気持ちになります。

f:id:KyoChika:20151019195347j:plain

「角を曲がれば、ウチのブースがある」

そう思って歩いていると、奥さんがいるお店に人だかりができていました。おそるおそる戻ってみると、「梱包手伝って!下にあるから!」という声。

商品が売れました。目の前で売れました。身体がカッと熱くなって、梱包用のプチプチをうまく巻けなくて、奥さんに商品を渡しました。少しあとになってから、嬉しくって身体が熱いんだということに気づきました。

モノを作って、売れるのが、嬉しいということ

奥さんが作った商品が売れました。売れることはこんなにも嬉しいことなんだと思いました。自分の会社の商品さえ売ったことがない開発者の私は、「モノを売れることは嬉しい」という単純な等式さえも知りませんでした。会社では「顧客志向」という言葉は聞くし、マーケティングの研修を受けたりもしましたけど、あそこで学んできたことは、こういうことだったのかと再認識しました。

f:id:KyoChika:20151019195348j:plain

会社や本で学ぶこと、それ自体は偉いけれど、目の前でモノが売れるという経験の衝撃の足下にも及びませんでした。奥さんが作った商品が売れたのが、嬉しい。もっと売りたい。ここにいるお客さまはどんな人が来てるの?ここの客層ではどんな商品が売れそうなの?この商品にお客さまはどれくらいの価値を感じてくれそう?それらをどうすれば魅力的に伝えられる?研修で習ったマーケティングの4P(Place, Product, Price, Promotion)は自然と考える内容だったんです。

奥さんも、「今までは自分が好きなものを作ってきたけど、これからは誰かが好きなものを作っていきたいと思えた」と言ました。自己啓発書では「お金持ちになりたければ、誰かが喜ぶことをしなさい」という内容がありました。本で読んだ時は、「要は自分が儲かりたいんでしょ」って思っていましたが、こうして体感してみると、誰かが喜ぶものを作るというのは偽善でもなんでもなく、何かを生み出すためのモチベーションなんだと思ったのです。

今の時代、専門職も自分の専門を極めるだけでは落ちていくと言われています。だからって、嫌々に本を読んだりするのではなく、営業職以外の人は「モノを売る」という経験をしてみると世界が開けるのではないか、そう思った一日の経験でした。

売れる商品を作るのは、楽しいことなんだ。

奥さんのブログの紹介

クリエイターの奥さんがブログを始めました。私のブログとはまったくスタイルが違いますが、今日使った写真に写る商品を少しでも「かわいい!」と思った方は、きっと気に入ると思います。

handmade.kyochika.com