結婚式を終えてからすぐのこと、旅行が好きな私たちはシンガポールへと旅立ちました。その後に向かったのがタイ・プーケット。私たちの旅行記はまだまだ続きます。
1日目
プーケット上陸
「メガネ曇った…」
プーケット。それは熱帯雨林の高温多湿地域。その蒸し暑さは一瞬にしてメガネを曇らす程だったのです。当たりを見渡すと、人々はカートの上に座り、町には壁のないバスが走ります。
とは言うものの宿泊先はリゾート地。こんなにも未開発のエリアで満たされているのに、時折現れるリゾート地は何ともアンバランスな存在なのでした。
カタタニ・プーケット・リゾート
現地ガイドと合流し、プーケットでの宿になるカタタニ・プーケット・リゾートへと向かいます。念願のリゾート地… シンガポールのホテルが最高だっただけに、今回の宿への期待も自然と高まります。しかし、
「ここです」
とセダンが泊まった場所は、思っていたより古くて、「ん?」という様になってしまいます。「きっと部屋は新しいはず…」と廊下を歩いていくも、囲まれる壁は一昔前の塗装をまとう。
そうしてドアを開けたとき、やはり予想通り、あまり新しくはない部屋に受け入れられたのでした。
部屋がハネムーン仕様になっていたのにはビックリしたけど、ハネムーン特典と言われたフルーツとケーキは、お世辞にも凄いとは言うことができない。
リゾート地に来たのに全体的にラグジュアリー感が薄くて、なんだか奥さんに申し訳ない気持ちになってしまいました。
満足?ビーチ
しかし、いつまでも憂鬱な気持ちを抱えているわけにはいきません。たとえ施設が良くなかったとしても、ここには美しい海があるのです!そうして気持ちを切り替えていざ海へ!
それなのに、迎えてくれたのは青とは似ても似つかないカラー。波も高く、想像していた「美しい海」とは程遠いものでした。
聞けばプーケットは雨期の9月は波が高く、海に入れない日も多いそうです。「季節を間違えたかな、施設を間違えたかな…」。そんな気持ちがどんどんと心につもっていきました。
楽しさをつくるもの
それでも彼女は笑っていました。
「レストランから夕日見えるね!」とか「プールたくさんあるね!」とか「海が綺麗だね!」とかウキウキと元気に話しかけてくれました。
確かに、よーく遠くまで見渡してみると実は青くて綺麗な海。砂浜もパウダーのようにサラサラとしていて、どんどんと沈んでいってしまう程の気持ちよさ。
「なんだ。結構いいところじゃないのか?」
そうして海に突撃してみると、まるでサーフィンが出来ちゃうんじゃないかってくらい波が強いのです。どんどんと大きくなる波にぶつかっては流され、また立ち向かっては流される。
「なんだ。結構楽しいんじゃないのか?」
少し湿った砂をかき集めてモニュメントを作ったり、防水カメラでたくさんの写真を撮ったり…
古いからとか、青くないとか、そういうことって本当は重要じゃなかったのです。そこに2人で来て、「わあ楽しいな」って思えること。それが最も大切なことだったのだと気づけました。
海でばっさーんと思う存分に流されたあと、プールではアクロバティックに彼女を手のひらに乗せて持ち上げては遊びました。同じチェアーに腰掛けて夕日を眺め、その夕日が落ちきるまでのんびりと眺めます。
夕日って、沈む時はその動きが目で追える程に早いんですよね。そんなこと、今まで考えも、気づきもしませんでした。
ナイトマーケット
実はこのホテル、半分の敷地はリフォームされているようで異常な程に豪華な造りとなっていました。
「そういえばパンフレットで見たのはこんな感じだったな…」
旅行に行く時、予めチェックすべき項目。その中に「最近改装したのであれば、自分はどっちに泊まるのか?」という項を増やそうと考えました。
敷地内を歩いていると露天商が集まったナイトマーケットが開かれていました。「ナイト」とつくだけでちょっと印象が変わる気がしますよね。
ロブスターという選択
夕飯を食べるためにホテルを出ます。歩いていくと海産物が無造作に並べられたお店に出会います。氷の上でみずみずしく輝くおいしそうな貝やお魚… そしてその中に、ひときわ目立つ2つの物体を見つけたのです。
「エビちゃんやん…」
そう、そこには私らの顔よりもでかいロブスターがあったのです。「プーケットに来たら新鮮な魚介類をぜひ食べてほしい」ガイドブックにも書いてあった通り、そのエビちゃんは活き活きとしておいしそう。食べたい、けど、高い…
そうして結局、買うのをやめていました。
そう、いつもなら。
しかし、今回はハネムーン。旅の開放感に背中を押され、「じゃあこれ一匹」と思い切って買ってしまったのです!
あわせて注文したパパイヤとココナツジュースで乾杯!
「この旅で、いかに愛しているかってことに気づいたの。エビちゃんのこと」
そう情熱的に話す奥さん程ではないけれど、私もワクワクしてロブスターのお出ましを待ちます。
そうして遂に現れたロブスター!青かった身体は食欲をそそる赤に変わり、その大きさはより際立っています。せっかくの珍しい被写体を思う存分に撮りたいけれど、アツアツのうちに早く食べたい… そうした葛藤と戦いながらも何とかいい写真を納め、一口めを口へと運んだのです。
もうわかっているんです。どうせ「ぷりぷりしている」と「味が濃厚」しか言えないんですよ。はい。そうです。もうほおばってみると「身がプリプリ」していて、噛んでいくうちに「濃厚な味」が口一杯に広がっていくのです!
月並みな言葉しか思い浮かびません。それでも写真とその「ありふれた想像しやすい言葉」で十分だと食べたいと思えると信じています。 あんなにでかかったロブスターもカニと一緒で食べる所は少なく、ミソをほじっては最後まで綺麗に食べ切ってやりました。
ロブスター?伊勢海老?
ちなみにロブスターと伊勢海老の違いって何だかわかりますか?外見から全く異なるその2つ。実はロブスターにはハサミがあり、伊勢海老にはそれがありません。
気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はその明確な違いは「ロブスターがザリガニで、伊勢海老が海老だということ」 よくうちの周りで転がっているザリガニの死骸。あいつらとこのロブスターが親戚だとは、知らない方が良かった事実だったのかもしれませんね。
2日目
コーラル島で青い海
プーケット旅行に行った際、港から10分で行くことができる近場の離島・コーラル島へ行きました。今日はそんなコーラル島でダイビングをしたお話です。
コーラル島。その海の青さは島に近づくに連れて段々と変わっていきます。濃紺が青、水色、そして最後には白へと変わり、鮮やかなグラデーションで作り出す。
ダイビング・ニモ
コーラル島のオススメポイント、それはアクティビティの充実度。プーケットには他にもピピ島など有名な離島がいくつかありますが、近場で遊べることを重点にするのであればこのコーラル島が一番だと思います。
せっかくなので僕らも一つアクティビティをしようということで、普段見れない景色が見えるダイビングををすることにしました!
ずしりと背中に来る酸素ボンベを背負い、浜辺からそのまま海へ潜ってダイビングスポットを目指します。浜辺から離れて沖に進むに連れ、背中で僕らを支えているガイドさんが少しずつジャケットの空気を抜いていきます。
少しずつ潜り、そうしてまた少しずつ海底へと進んで行きました。
実はダイビングを行う前、シュノーケルをしながらゆっくりお魚を眺めていました。しかし、こうして段々と浜辺から離れ海底へと潜って行くと、魚の量・種類の豊富さが全く異なっていきます。
魚を見れる、ただそれだけのことなのに非常に感動的な時間でした。
潜り始めてから、初めて足がつく瞬間がありました。何だろうと見渡してみると、横には赤色のイソギンチャク、そしてその中にはゆらゆらと泳ぐカクレクマノミがいました。
奥さんが撮ったんですよ。うまいでしょう。
ニモで人気となったカクレクマノミは、実は生まれてから死ぬまで同じイソギンチャクから出ることがないそうです。永遠と同じ家に住み続けるなんて、究極の引きこもりさんなんですね。何だかクマノミに親近感が湧いてしまうのでした。
沖から離れて、海底に潜る程に海の美しさは増して行きました。その美しさは想像以上で、もっと深いところも、きっと想像よりも綺麗なんでしょう。
エレファントライド
「パンーーーーーーー」
異国の地・プーケットにて突如として聞こえる銃声。それは、エレファントライドのパークへ着いた時のことでした。銃撃戦が始まった… わけではもちろんなく、隣に併設されている射撃場から聞こえる音でした。
今回はそんなエレファントライドで象の気持ちを考えるお話。
いのちづな
象さんに乗るのはこれが人生2回目です。もう一度あの背中に乗ってみたいという気持ちがありました。遠い記憶の中にある象の背中、今乗ると思うことは違うのだろうか?そういった思いにふけってみたかったのです。
そうして乗った象の背中。イスの横には弱々しいベルト。そのベルトをつける前にはもう出発をする象さん。動き出した際の衝撃で危うく落ちそうになり、今にもちぎれそうなベルトに助けられます。
自分の背中の上でそんなことになっているなんてことには気も止めず、象さんはズンズンと前へ進んで行きます。
「あ!右!あ!左!」
といった感じで一度は体勢を落ち着かせてから思い切り身体を左右へ揺らして歩く。バナナの木を見下ろしながら、ゆっくりと大きく歩く象さんの旅を楽しむのでした。
象に乗ること
象さんが歩くパークは観光地というより一つの村であり、高床式の古家や家畜の鶏、バナナ畑などの景色が広がっていました。
僕は「良いこと考えた!」と靴を脱ぎ、素足で象の背中に触れてみます。皮膚は硬く、毛は針金のように堅い。象に乗って象に触れる。当たり前のことのように思えて、誰もがするわけではない新鮮な経験をできました。
しばらくバナナ畑を歩くていくと、一本道へと辿り着きました。が、象さんが進みたいのは道ではなく草原のようです。「俺かい?俺は道なき道を行くよ…」といったことを背中で語りながらずんずんと草むらに進んでいく。
象が来たことで鶏が走り回り、鶏のくせにピヨピヨと泣きながら逃げていきます。
そうして道なき道を歩いていた象さんでしたが、ふと立ち止まり下を向きます。「俺かい?俺はちょっとカフェテリアに寄っていくよ…」と草をむしゃむしゃとむしゃりはじめ、しばらくその場から動かなくなってしまいました。
乗せてはもらっている身分なので、象さんが満足するまで待ってみることにします。
象に乗る。それは移動手段でもあったのだろうけど、その中身は車と大きく異なります。意思のない車は純粋な操縦の対象だけど、象には自分の考えがある。ゆっくり歩き、草を食べる象の姿。それを柵越しではなく背中から見れる。
彼らと同じ目線で、同じ時間をのんびりとしてみると、何で自分はいつも、あんなに急いで生きているのだろうと思ってしまいました。
プライベートプール
ホテルに戻ってからは部屋の前にあるプライベートプールで日記を書くことに。書きたい時に書く。もう少し気楽に、ゆっくり生きてみるのも良いかもしれません。
ホテルの隣の飲食店
陽気なタイ人店主に迎えられて席へ座ります。
片言で「こ!んにちわぁー!」と語気強め、語尾のばして挨拶をする店主。
時折、「おには?おには?」と謎の日本語で話しかけてる。
まだ覚え切れていない日本語のようでこちらも意味が分からず、お互いニヤニヤと無言で見つめ合ってしまう。
見つめ合うと、素直にお喋りできない…
店主とは言葉なく熱い握手を交わし、一時のお別れを果たすのでした。タイ人、いい人ばかりですわ。
注文した品々
タイ料理って全ての料理にパクチーとナンプラーが入っていると思っていました。
が、当然そんなことはありません。結構日本人好みの「甘くない。酸っぱくない。薄味」料理も結構あるものです。
ヌードルスープ
ワンタンみたいなのが入っていておいしい。
プーケットはやはり海が近いということもあり魚貝系のメニューが豊富です。
スズキの甘酸っぱ煮
魚料理で絶対おすすめなのがこのスズキ!
見た目とは裏腹に味は爽やかで、ライムの香りが聞いた料理です。
パクチーの味もかすかにはしますが、「ひそかに」香る程度であれば素敵な引き立て役に!
パイナップルチャーハン
強烈な見た目。
予想通り甘いですが、ご飯の甘みにちょうどマッチするおいしさ。
ご飯ものとしての選択としては断然ありです!
ファイヤーダンス
「?????」
スズキを骨だけにしている最中、突如として店の電気が消えました。
「停電?」
そうして外の方を見ると、火の玉を抱えた裸の男がおもむろにこちらへと向かってきます。
何を隠そう、その男性は熱い握手を交わした先程の店主でした…!
店の音楽が大音量のダンスミュージックに変わり、火の玉を自在に操りながら踊る店主。
「スゲー。タイ人多彩過ぎだろ!」
なんて、純粋に楽しんでいました。
そう、はじめの内は…
彼の動きをよくよく見てみると、時折身体にぶつけているんじゃないかという怪しい動きをしています…
そうして身体の方を見てみると、その黒い身体には焦げたような無数の傷跡…
「もしかして、かなり失敗しているんじゃないか…?」
そう思い始めた途端、このイベントは「いつ火の玉が飛んでくるかわからない恐怖の催し」へと姿を変えたのです。
店主に無茶ぶりされて嫌々火の玉を回しだす新たな店員。
「あらたなてきがあらわれた!」
彼のファイヤーダンスはかなり高速、しかも頻繁に持ち位置を直している。
最悪直すのは良いけれど、回しながらはするのはやめてください。マジで飛んでくる…
そうしておもむろに近づいてくる店主。
「どうだい少年。こいつをどう思う?」という満面の笑みを浮かべるタイ人。
怖いからこっちくんな、さっきの握手はなしだ…
心臓をえぐられる、恐怖のイベントでした。
不完全の強さ
そうして「今回だけ」は何事もなく終わったファイヤーダンス。
しかしこうして終わってみると、はじめに予想していた以上に楽しめたのも事実です。
その要因は間違いなく「スリル」
日本で生きていると、常に「安全だろう」という意識を持ってしまいます。
どんなにハラハラしても、ジェットコースターが脱線するなんてことはあってはなりません。
そうして無意識のうちに、「どうせ大丈夫」という気持ちがこころに安心感を持たせるのです。
しかし、海外は違う。
「この店主、マジで飛ばすんじゃないの?」
そうした「安心できない」気持ちが心に緊張感を与え、結果として楽しめるアトラクションになるのです。
不完全、だからこその面白さ。
そういったものもあるのだなと思えた瞬間でした。
だからといって、本当に飛んできたらシャレにならんけど…
3日目
高波プーケット
リゾート地にいる外国人。その多くはウッドチェアーに腰掛け、サングラス越しに海を見つめています。しかし正確には、海の方を向いているだけで何も見ていないのかもしれません。
銅像のように微動だにしない外国人たち。
そんな「何もしないこと」を楽しむセレブな大人たちを横目に、僕らは海へと出掛けました。9月のプーケットは波が高く、サーフボードを持った人をよく見かけます。
「僕もやってみたいな」
そうは思ってもボードは持っていない。
しかし、遠い沖の方を見てみると、何人かの外国人が波に身を重ねように何度も飛び跳ねているのです。
それが、僕とボードレスサーフィンの出会いでした。
身体で学ぶ
「もしかしたら、身一つでも波に乗れるのかもしれないー」
そう思ったならあとは行動するのみ。元々波乗りをするために、海に来たのではありません。失敗したって、失うものなど何もないのです。
まずは欧米人を観察し、そのやり方を学びます。真似して何度か試してみるも、一向にその感覚は掴めません。普段の僕ならば、まずはネットや本でそのやり方やコツを理解してから挑戦します。しかし今回はもちろん全てが手探り。
波に突っ込んでは塩水を飲み、また突撃しては目が開けられなくなる。物理的に考えたり、また先人に学んだりと試行錯誤を繰り返します。遠くの浜辺では、奥さんが写真をとっているのがかすかに見えました。
と、その時、波の上にいる時間が少し伸びた気がしました。
可能性が、ゼロからイチに変わった瞬間、だったのかもしれません
考えるよりも感じろ
結局その後は波に乗れることもなく、僕のボードレスチャレンジは終わりました。しかし、短時間でも味わえたあの浮くような現象。砂を踏むのではなく、水中で浮くのでもなく、海と空の間にいるのだというあの感覚。
サーフィンの魅力に、ちょっと気づいてしまったのかもしれませんでした。
きっと本を読んでいたら、この気持ちに気づく前に飽きていたかもしれません。考えるよりも、行動する方がいいときもあるのですね。
プーケットの高波映像
動画におさめましたので、良ければご覧ください。
どれほど波が強いのか、この波でこの青さを保っているんだなと感心します。
プーケットタウン
プーケットでお買い物と言えば大型免税店かプーケットタウン。しかし、ブランドに興味がない私達の目的地は消去法的に決まっていました。そうして向かったプーケットタウン。正直「おすすめ?」かと聞かれれば微妙でした(笑
驚く程なんもないのです。なんというか中途半端なんですよね。シティーにするか観光地にするかローカルにするか。そこらへんが決まり切っていないように感じました。
屋台飯
そんな中、唯一楽しめたのが屋台飯です。これにはカルチャーの差を感じました!
ご覧の通り店員の方はバイクに乗って調理しています。屋台がそのままバイクにくっついているのです。陽気に話しかけられ、よくわからぬままに「Your Reccomend」と注文。
こうして適当に頼んでみると、どんな料理が来るかも分からない。そのこと自体にワクワクしますね!そうして運ばれてきた汁なしラーメン風の一品。
プラスチックの容器に入れられた料理を、クーラーもない外で食べる。なんか「ぽい」じゃないですか。こういうのがいいですよね。
中学生の頃にも海外旅行に連れて行ってもらったことがありました。でも、その時はこういったちょっと「不衛生的なもの」は食べれなかったのですよね。しかし今はむしろこうした環境を求めて、喜んでいる。
柔軟性という考えからすると、成長したのかもしれません。他の人に取っては小さいことかもしれませんが、私起点で考えれば大きな成長ですね!
サンセットディナー
シンガポール・プーケットの二ヶ国を楽しんだ8日間のハネムーン。いつもであれば旅が終わりに向かうに連れて、「もうすぐ、日常だ…」ということを考えてしまいます。
しかし今回に至っては、そんな気持ちが少し異なっていました。今日はそんな海外旅行最後の夜についてのお話です。
プーケット最後の夜は、ホテル内の浜辺に立つレストランで過ごすことにしました。
綺麗な夕日に、波の音。
シンガポールにはデザインという美しさがあったけれど、ここプーケットの美しさは守るべきものなのかもしれません。
「高いし、飲み物はいいかな…」と思ったけれど、やっぱり最後の夜は乾杯したい。ということで、グラスとココナツで乾杯。音はならないけれど、なんだか素敵な気がしました。
生演奏と波の音。なんで自然音って心地よく聞こえるのでしょう。
プーケット最後の夜はフレンチにしました。
最後のディナーに食べ慣れた味を選んだのは、気分を落ち着かせる意味でも良かったのかもしれません。ナイフとフォークでステーキを切り、口へと運ぶ。刺激的ではない、安心して食べられる味でした。
サプライズレター
食べ終わり、背もたれに体を預けて暗い海を見ます。ホテルの淡い光に照らされた波が、白く光っている。生演奏はいつの間にかバラードに変わり、自然と「ああそろそろ旅も終わりなんだな」という気持ちにさせられました。
すると、奥さんから一つの封筒を渡されました。 サプライズのお手紙です。結婚式の準備から、ハネムーンまでの思いが書いてあって、少し目頭が熱くなりました。サプライズって、自分のことを考えて貰えていることがわかるから、なおさら嬉しくなります。
チェックを済ませてプールサイドを歩きます。結婚式前までは、旅が楽し過ぎて仕事に戻れないんじゃないかと本気で考えていました。しかしこうして今終わりを迎えてみると、どうなのかわからないという気持ちです。
永遠にこの幸せが続いて欲しい。一方で、日本に帰って穏やかな幸せを描きたい、とも思う。そこに仕事がどう絡んでくるかは、まだ描き切ることができませんでした。
一年目のような楽しさは、今はあまり感じられません。ただ、「やりたくないことをやる!それが仕事」なんて人生には耐えられる気はしない。その思いは前より強くなってしまった気はしました。
いいことなのかも、しれませんが。
子供の頃は最後の日が近づくのが本当に嫌でした。 「やった!旅行が始まった!」「ああ、半分過ぎちゃった…」「もう、明日から普通の日…」 今はそうじゃない。今日が最後だけど、悲しい訳じゃない。いつかきっと、また楽しい旅に出かけられるって、自分で決めることができるから。
そう思えるからこそ、また明日からも楽しく過ごせると思えるのかもしれません。 将来どんなことをしていても、いつまでもこうして2人で旅をしたいそう思えた8日間のハネムーンでした。何だか最後は、ちょっとしんみり。